やる気がない!? いやっ!

縮小していただけだった!!

   ~やる気をだすためのリハビリを行った~

利用者様の状態

 

  • 年齢・性別:70歳代・男性
  • 病名:右脳梗塞
  • 介護度:要介護1

 

相談内容

 

  • 同事業所の回復期病棟入院しており、退院に向けて、担当リハビリ療法士から、自宅生活に対する助言、左手の機能改善や左半側空間無視による左手の使用頻度低下の防止を目的に依頼を受ける。
  • 家族からも自宅で生活ができるのか、左手を日常で使用できるのかが心配との相談がある。
  • 本人からは、趣味の野球がしたいとの希望がある。

 

リハ介入の効果

 介入当初

  • 本人から見える左側への意識・注意が低く(左半側空間無視による症状)、各生活動作においても左手を上手に使えず、家族に助けを求めていた。
  • しかし、左手は全く動かない状態ではなく、リハビリを行うことで改善の見込みはあった。

経過

  • リハビリには取り組むが、自主訓練を指導しても、妻より『全くやらないんですよ』と報告があり、本人も『手伝ってもらってます。あはは。』と意欲的に取り組むことが出来ない状況であった。 

  • 入院中に検査していた脳のCT画像を確認したところ、意欲や自発性をつかさどる前頭葉の損傷があり、ただやる気がないのでなく、脳の損傷によりやる気が出せない状態ではないかと考えた。
  • そこで、やる気を出すための訓練として、本人の希望でもある野球を導入した。
  • 最初はバッドが握れない、靴紐が結べないなどの問題があった。しかし、今まであれば、誰かに助けを求めていたが、野球をすることによって、『こうしたら出来るかな』などの発言と共に、体の状態について考え、行動する場面が見られるようになった。

 

 活動・参加に対するリハビリの効果

 

  • 現在も生活上の課題は残っているが、周囲の方の協力もあり、野球の試合に出れるようになった。
  • また、日常の生活でも左手を使用できるように一緒に考えるようになった。

 

まとめ

 

  • リハビリスタッフから一方的に指導した自主訓練では継続できず、本人の希望であった趣味をリハビリに導入することで、効果のあるリハビリを継続できた。
  • これは『やってください』ではなく、『やってみたい』『できるようになりたい』という気持ちを引き出すことがポイントとなった。
  • 本人のやる気は『ある・ない』ではなく、『拡大・縮小』するもので、やる気が出ないことを本人の責任にするのではなく、専門的な見解(脳画像など)からもリハビリの方法を考えることが重要と感じた利用者であった。